ドサージュとはスパークリングワインの味わいを左右する大切な工程

スパークリングワインやシャンパンの奥深い味わいには、「ドサージュ」と呼ばれる工程が大きく関係しています。この工程を知ることで、ワイン選びや楽しみ方がより広がります。
ドサージュの基本的な役割と仕組み
ドサージュとは、スパークリングワインやシャンパンの仕上げ段階で、糖分を含んだリキュール(門出のリキュール)を加える作業を指します。この工程は、完成したワインの甘さや口当たりを調整する重要な役割を担っています。ドサージュによって、ワインのバランスや個性を引き立てることができます。
また、ドサージュの量を調整することで、同じワインでも異なる甘さや味わいに仕上げられます。甘味を抑えたい場合は控えめに、華やかな味わいにしたい場合は多めに加えるなど、仕上げの個性を決定する重要なポイントとなります。
シャンパンやスパークリングワインの製造工程における位置づけ
スパークリングワインやシャンパンの製造は、ブドウの収穫から発酵、瓶詰め、熟成といった段階を経て進みます。ドサージュは、澱(おり)抜きと呼ばれる工程の後に行われる最後の仕上げ作業です。
このタイミングでドサージュを加えることで、ワインの辛口・甘口の度合いが最終的に決定されます。また、加えるリキュールの種類や量によって、味わいの幅や個性が変化します。そのため、多くの生産者が自社のスタイルや哲学に合わせて、この工程にこだわりを持っています。
ドサージュの量が味や甘辛に与える影響
ドサージュの量は、ワインの味わいに直接的な影響を及ぼします。たとえば、ドサージュが多いと甘味が増し、やさしい口当たりに仕上がります。逆にドサージュが少ないと、よりシャープでキリッとした印象の辛口になります。
以下の表に、ドサージュの量と味わいの関係をまとめました。
ドサージュの量 | 味わいの特徴 | 主なスタイル |
---|---|---|
多い | 甘味が強い | ドゥミセック等 |
普通 | バランス型 | ブリュット |
少ない・無添加 | 辛口・シャープ | エクストラブリュット、ナチュール |
このように、ドサージュの量は自分好みのワインを選ぶ際の大切な指標となります。
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ドサージュの種類とラベル表記の違い

スパークリングワインやシャンパンのラベルには、「ブリュット」や「エクストラブリュット」など、ドサージュの違いを示す表記が並んでいます。こうした種類や表記の意味を理解することで、ワインの選び方もよりスムーズになります。
ブリュットやエクストラブリュットなど主要な分類
スパークリングワインの甘辛度合いは、ドサージュの量によっていくつかの分類に分けられます。最も一般的なのが「ブリュット」で、ほどよい辛口のバランスが多くの人に好まれています。
その他にも、以下のような分類があります。
- ブリュット・ナチュール/ゼロ:ドサージュ(加糖)なし、極めて辛口
- エクストラブリュット:ごくわずかなドサージュ、シャープな辛口
- ブリュット:標準的な辛口
- エクストラドライ:やや甘口
- ドゥミセック:甘口
表でまとめると以下のようになります。
名称 | 含まれる糖分(目安) | 味の傾向 |
---|---|---|
ブリュット・ナチュール | 0-3g/L | 非常に辛口 |
ブリュット | ~12g/L | 辛口 |
ドゥミセック | 32-50g/L | 甘口 |
自分の好みに合わせて選べる幅広いスタイルが揃っています。
世界各国の甘辛表記の特徴
スパークリングワインの甘辛表記は、国や地域によって呼び方や基準が異なることがあります。フランス、イタリア、スペインなど主要な産地ごとに、独自の名前や規定が設けられています。
たとえば、フランスでは「ブリュット」「エクストラブリュット」などが一般的ですが、イタリアのプロセッコでは「ブリュット」「エクストラドライ」といった表記が使われます。スペインのカヴァでも類似した分類が見られますが、基準となる糖分量に微妙な差があるため、ラベルをよく確認することが大切です。
また、同じ「ブリュット」でも国によって味わいの印象が異なる場合があるので、産地やスタイルの違いも意識して選ぶと、自分に合ったワインが見つかりやすくなります。
ドサージュゼロやナチュールのトレンド
近年、ワイン業界ではドサージュを加えない「ドサージュゼロ」や「ブリュット・ナチュール」が注目されています。これは糖分を加えず、素材本来の味わいを楽しむスタイルです。
このトレンドは、より純粋なワインの個性や、食事との相性を重視する方に支持されています。また、健康志向の高まりから、余計な糖分を控えたいというニーズにも合致しています。ただし、味わいがシャープで酸味が際立つため、好みが分かれることもあります。「ナチュール」という表記を見かけたら、素材そのままの味わいに興味がある方はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
ワイン選びに役立つドサージュの知識

ドサージュを理解すると、自分の好みやシーンに合わせたワイン選びがしやすくなります。ここでは、選び方のコツや楽しみ方を具体的にご紹介します。
シーン別おすすめドサージュの選び方
スパークリングワインを選ぶ際は、シーンや目的に合わせてドサージュの量を意識すると、より満足度が高まります。
- パーティーや乾杯には:ブリュット(標準の辛口)が多くの人に好まれ、合わせやすいです。
- デザートと合わせるなら:ドゥミセックなど甘口タイプがおすすめです。
- 食前酒やさっぱりと楽しみたい時:ドサージュゼロやエクストラブリュットが適しています。
また、ギフト選びの際は相手の好みや食事の内容に合わせて、ラベル表記をチェックしながら選ぶと喜ばれます。
飲み比べで分かるドサージュの違い
同じブランドや生産者のワインでも、ドサージュの違いによって味わいが大きく変わります。飲み比べをすることで、自分の好みを見つけやすくなります。
たとえば、ブリュットとエクストラブリュット、ドサージュゼロの3種を並べてテイスティングしてみましょう。ブリュットはバランスの良い口当たり、エクストラブリュットはキリッとした印象、ドサージュゼロはシャープで素材感が際立ちます。この違いを体験することで、ワインの繊細な個性をより深く理解できるようになります。
料理との相性を高めるドサージュの選択ポイント
スパークリングワインは料理との相性も大切なポイントです。ドサージュの量によって、合わせやすい料理が変わります。
- 辛口(ブリュット・ナチュール、エクストラブリュット):魚介料理や和食、前菜と好相性
- ブリュット:幅広い料理に合わせやすい
- 甘口(ドゥミセック):フルーツやデザート、スパイシーな料理とも合います
このように、メニューや食事のシーンに合わせてドサージュを選ぶことで、食卓の楽しみが一層広がります。
ドサージュが行われないワインとその理由

すべてのスパークリングワインがドサージュを行うわけではありません。ドサージュを加えないワインには、独自の特徴やこだわりがあります。その理由や魅力について見ていきましょう。
ノンドサージュワインの特徴
ノンドサージュ、またはドサージュゼロと呼ばれるワインは、糖分を一切加えずに仕上げています。こうしたワインは、ぶどう本来の味わいや酸味、ミネラル感がストレートに感じられるのが特徴です。
また、余計な甘味を足さないため、食事と合わせやすい点や、後味がすっきりとする点も魅力の一つです。特にナチュラル志向の方や、ワインそのものの個性を味わいたい方に人気があります。
ドサージュを行わないメリットとデメリット
ドサージュを加えないことで得られるメリットはいくつかあります。まず、余計な糖分を加えず、自然な味わいを楽しめることが挙げられます。また、ワインの持つ本来の香りや酸味が際立ち、個性が際立ちます。
一方で、酸味や苦味が強調されやすく、好みに合わないと感じる方もいます。さらに、ワインの保存やバランス調整が難しくなる場合もあります。そのため、ノンドサージュワインは、よりこだわりのある製品や、上級者向けとされることもあります。
近年注目される無添加スパークリングワイン
最近では、添加物や補糖を極力控えた「無添加スパークリングワイン」が注目されています。こうしたワインは、ナチュラルな製法やオーガニック志向の高まりにより、多くの消費者から支持を集めています。
無添加ワインは、素材の良さを最大限に生かし、ぶどうや畑の個性が感じられる仕上がりです。ただし、一般的なワインと比べると保存性や味わいの安定感に注意が必要な場合もあります。ワインの自然な味を求める方には、ぜひ一度試してみる価値があります。
まとめ:ドサージュを知ることで広がるスパークリングワインの楽しみ方
ドサージュは、スパークリングワインやシャンパンの味わいを大きく左右する重要な工程です。その仕組みや表記、種類を知ることで、自分に合ったワインを選ぶ楽しさが増します。
また、甘辛や産地、料理との相性を意識して選ぶことで、ワインの魅力をより豊かに感じることができます。ドサージュに注目しながら、あなただけのとっておきのスパークリングワインを見つけてみてはいかがでしょうか。
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