シャルマ方式とはスパークリングワインに使われるタンク発酵法の特徴

スパークリングワインの製法にはいくつかの種類がありますが、その中でもシャルマ方式は比較的手軽で、フレッシュな泡立ちを特徴としています。
シャルマ方式の基本的な仕組みと工程
シャルマ方式とは、「タンク方式」とも呼ばれ、二次発酵を大きな密閉タンクの中で行うスパークリングワインの製法です。一次発酵でワインを造った後、糖と酵母を加えて密閉タンクに入れ、二次発酵によって自然な炭酸ガスをワインに溶け込ませます。この工程では大量生産がしやすく、均一な品質を保てるという特徴があります。
この方法の工程は次の通りです。
・ベースワインの準備
・糖と酵母をタンクに加える
・密閉タンク内で二次発酵
・ろ過や清澄処理
・瓶詰め
伝統的な瓶内二次発酵方式に比べて時間や手間が少なく、すっきりとした風味と軽やかな泡が楽しめるワインに仕上がります。
伝統方式との違いとそれぞれのメリット
シャルマ方式と伝統方式(瓶内二次発酵)はどちらもスパークリングワインの主要な製法ですが、それぞれに異なる特徴があります。伝統方式では、発酵を瓶の中で行い、きめ細かな泡と複雑な香りが生まれます。一方、シャルマ方式はタンクで発酵させるため、製造期間が短く、フレッシュな風味が特徴です。
また、伝統方式は時間がかかる分、高級感や熟成による深みが現れやすい傾向にあります。シャルマ方式はコストを抑えやすく、手軽に楽しめるスパークリングワインが多いのも魅力です。目的や好みに合わせて選びやすい点が、これら二つの大きな違いと言えるでしょう。
シャルマ方式が広く採用されている理由
シャルマ方式が多くのワイナリーで採用されている主な理由は、短い生産期間とコストの抑制です。大量生産がしやすいため、価格を比較的低く設定できるのが消費者にも生産者にもメリットとなっています。
また、フルーツのフレッシュな香りや味わいを生かしたい場合に適しており、特に若いワインや軽やかなスタイルのスパークリングワインに最適です。このため、日常的に楽しめるカジュアルなスパークリングワインの多くで、シャルマ方式が選ばれています。
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スパークリングワインの多彩な製法とその違い

スパークリングワインには複数の製法があり、使用する方法によって風味や泡立ちが大きく異なります。それぞれの特徴を知ることで、選ぶ楽しみが広がります。
伝統的方式やトランスファー方式の特徴
伝統的方式は、瓶の中で二次発酵を行うことで細やかな泡が生まれ、熟成による旨味と深みが加わります。シャンパンや高級スパークリングワインの多くがこの方式を採用しています。発酵後、澱(おり)を取り除くために瓶を回転させる「ルミュアージュ」や、澱抜きの「デゴルジュマン」など、手間のかかる工程も特徴です。
一方、トランスファー方式は伝統的方式と似ていますが、瓶で発酵させた後、大きなタンクに中身を移し、ろ過して再び瓶詰めします。伝統方式より効率よく生産でき、泡の質も比較的細かいですが、手間が少し省ける点が特徴です。両者は手間やコスト、泡立ちに違いがあるため、用途や求める品質に応じて使い分けられています。
アンセストラル方式や炭酸ガス注入方式の概要
アンセストラル方式は、瓶詰め前のワインをまだ発酵途中で瓶に入れ、そのまま発酵を続けさせる伝統的な手法です。添加物を使わず、自然な泡立ちや独特の味わいが楽しめるため、個性的なスパークリングワインを求める方に人気があります。
炭酸ガス注入方式は、ワインに人工的に炭酸ガスを加えるシンプルな方法です。この方法は短時間でスパークリングワインが作れるため、大量生産やリーズナブルな価格帯の商品に適しています。自然発酵による泡立ちと比べると、泡がやや大きめで抜けやすい傾向があります。
製法による風味や泡立ちの違い
スパークリングワインの風味や口当たりは、製法によって大きく変わります。以下の表に、主な製法ごとの特徴をまとめます。
製法 | 泡立ちの特徴 | 風味の傾向 |
---|---|---|
伝統方式 | 細かく持続性あり | 複雑で熟成感 |
シャルマ方式 | 軽やかで柔らかい | フレッシュで果実味 |
炭酸ガス注入 | 大きく抜けやすい | すっきり軽め |
たとえば、特別な日に飲みたい場合は複雑な風味の伝統方式、日常的に楽しみたいときはフレッシュなシャルマ方式など、シーンによって選ぶポイントも異なります。
世界の主なスパークリングワインとシャルマ方式の関係

各国のスパークリングワインには独自の製法や特色があり、シャルマ方式の活用方法も国ごとに違いがあります。地域による違いを知ると、ワイン選びがより楽しくなります。
イタリアのプロセッコに見るシャルマ方式の活用
イタリアの「プロセッコ」は、シャルマ方式を代表するスパークリングワインです。ベースとなるブドウ品種「グレーラ」のフレッシュな果実味を生かすため、この方式が最適とされています。
シャルマ方式によって、プロセッコは軽やかで優しい泡立ちに仕上がり、親しみやすい味わいが特徴です。また、比較的手ごろな価格で手に入りやすい点から、世界中で人気が高まっています。イタリアでは、日常の食事やパーティーでもよく選ばれています。
フランスやスペインでの製法の違い
フランスでは、多くのスパークリングワインが伝統方式(瓶内二次発酵)で造られています。有名なシャンパンもこの方式で、その繊細な泡と熟成された深みが魅力です。一方、ロワール地方など一部ではシャルマ方式も採用されています。
スペインでは「カヴァ」が伝統方式で造られる代表的なスパークリングワインです。しかし、カジュアルなタイプやフルーティなスタイルにはシャルマ方式が使われることもあります。国ごとに使い分けられている背景には、ブドウ品種や伝統、消費者の好みといった要素があります。
人気スパークリングワインの産地別特徴
世界の主なスパークリングワインを産地ごとに特徴と製法でまとめると、次のようになります。
産地 | 代表的ワイン | 主な製法 |
---|---|---|
イタリア | プロセッコ | シャルマ方式 |
フランス | シャンパン | 伝統方式 |
スペイン | カヴァ | 伝統方式・シャルマ方式 |
このように、産地やワインのスタイルによって製法が異なります。自分の好みに合わせて、産地や製法を選ぶのもワインの楽しみ方のひとつです。
シャルマ方式のスパークリングワインを楽しむコツ

シャルマ方式のスパークリングワインは、爽やかさやフルーティな味わいが魅力です。日常をちょっと豊かにしてくれる飲み方やコツを押さえておくと、より美味しく感じられます。
最適なグラスや温度選びのポイント
シャルマ方式のスパークリングワインは、フレッシュな香りと爽快な泡立ちを楽しむため、細長いフルートグラスや丸みのあるグラスがおすすめです。泡が長持ちし、香りも感じやすくなります。
適温は6~8度が目安です。冷やしすぎると香りが感じにくくなり、ぬるすぎると泡が消えやすくなります。冷蔵庫で2~3時間ほど冷やし、飲む直前に出すとちょうど良い温度になります。
開栓時に注意したいことと上手な注ぎ方
開栓の際は、ボトルを45度ほど傾け、コルクが飛び出さないようにゆっくり回しながら開けるのがポイントです。濡れたタオルで押さえると安心です。
ワインを注ぐときは、グラスを斜めにしてゆっくり注ぎます。泡が一気に立ちすぎず、きれいにグラスに注げます。一度に注ぎすぎず、複数回に分けて注ぐと泡が落ち着きやすいです。
食事との相性やおすすめのペアリング
シャルマ方式のスパークリングワインはフレッシュな味わいが特徴のため、軽めの料理とよく合います。以下はおすすめのペアリング例です。
・サラダやカルパッチョ
・白身魚やエビなどのシーフード
・生ハムやフレッシュチーズ
また、塩味や酸味のある前菜、野菜を使った料理とも相性が良く、シンプルな味付けの料理がワインの爽やかさを一層引き立てます。食事と一緒に楽しむことで、ワインの魅力がさらに広がります。
まとめ:シャルマ方式を知るとスパークリングワイン選びがもっと楽しくなる
シャルマ方式は、手軽に楽しめるスパークリングワインを生み出す魅力的な製法です。その特徴や他の製法との違いを知ると、ワイン選びがより楽しくなります。
産地やスタイルによって、味わいや泡立ちもさまざまです。自分の好みやシーンに合わせて、ぜひシャルマ方式のスパークリングワインを味わってみてください。
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